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[整理No.015]
投稿 江川清貞さん 株式会社バイオテックジャパン 代表取締役社長
「スループット会計とTOCパッケージの質問」

質問:江川清貞さんより

初めまして。私は新潟の山奥で植物性乳酸菌の研究開発メーカーの経営に携わらせて頂いております江川と申します。日々、儲かる会社の仕組みについて苦悩しておりました。キャッシュフロー経営と現行の原価会計制度の矛盾については悩みの種でした。そんな時、書店で「ザ・ゴール」を目にし、早速購入。夢中で読み切りました。

そしてこれこそ自分の探し求めていた理論であると久しぶりに興奮し、眠れぬ夜を過ごしました。「TOCに関する情報」を出来るだけ集め、自分たちなりに消化し、我が社なりの「TOCマネージメント」を作り上げよう。そしてそのプロセスの中に、組織による「知識創造活動」の源泉を求めようと考えました。社員一人一人に「儲け」を意識させ、その最大化に参加させ、そのリターンも体験させる。これも一つの「オープンブックマネージメント」のスタイルにならないかなぁ。などとあれこれ考えておりました。そんな中ホームページで先生の論文を拝見し、再び興奮のるつぼと化しました。あれだけの内容を「TOCの普及に役立てば」と無料で開放。先生のこの姿勢の中に「この理論を活用し日本経済を再生させろ」という経営者に対する熱いメッセージを勝手に感じさせて頂きました。我が社は研究開発型のベンチャー企業です。

研究開発部門に力点を置いた運営をしてきたため生産部門のシステムが全く出来ておりません。そこで生産管理システムを新しく導入しようとソフト会社と色々打ち合わせをしている最中なのですが、結局のところ商法・税法の関係から現行の原価計算制度をベースにして考えざるをえず、せいぜいABCの経費コントロール法を参考にする程度にとどまります。しかしこれでは私のイメージとはほど遠く、金をかけてまで導入するのに釈然としません。そこで、ホームページで紹介のあった[TOCのパッケージ]がうまくリンクしないかなぁと思いメールさせて頂きました。私どもはまさにこれから、我が社専用の管理ソフトの制作を業者に依頼しようと打ち合わせをしているところです。そこに「TOCパッケージ」が連動する形にしたいのですが。不可能でしょうか?是非、適切なアドバイスを賜れれば幸いです。田舎者につき失礼がございましたらお許し下さいませ。江川

回答 :小林英三

江川 様

メールを有難う御座いました。

事情がよく分からないままに、しかし、システム開発についての意思決定を、まさになさろうとされているご状況を念頭に、とっさの、反応を致します。したがって、的外れならお許し下さい。

[1] TOCは、大きく分けて、三つの部分から構成されています(拙著「制約理論(TOC)についてのノート」の第4、5、6、7章ご参照)。[このほかにも、ゴールドラットの「クリティカルチェーン」という本の中で紹介されているプロジェクト管理の分枝があります。これについては、再度、後に触れます。

すなわち、

  • 問題解決/思考プロセス分枝
  • 業績評価システム分枝
  • ロジスティックス分枝

の三つです。

これらは、それぞれ、相互にまったく異なるものですが、全体として制約理論を構成しています。

[2] ところで、頂戴したメールの中には、「原価会計制度の矛盾」、「新しい生産システム」、「研究開発」というキーワードが入っています。

「原価会計制度の矛盾」についての議論は、上記の三つの分枝のうち、「業績評価システム分枝」に関係するものです。

「新しい生産システム」についての議論は、「ロジスティックス分枝」に関係するものです。

「研究開発」についての議論は、「ロジスティックス分枝」に関係するものです。

多分、それぞれのところで、TOCの対応する部分が役立つと思います。

したがって、江川様には、「新しいシステム」を発注なさる前に、これらの概念をよく理解されるのがよいと思います。

文献としては、小生の「制約理論(TOC)についてのノート」がよろしいかと思います。(amazon.co.jp にオーダーすれば、比較的に、すぐ、入手可能です。

また、出版社ラッセル社(電話:03-3352-4211)に電話すれば、送ってくれると思います。)

[3] MSIのホームページには、二つのソフトウエアが触れられています。

  1. 1) MAXAGER: これは、「業績評価システム分枝」についてのものです。
  2. 2) ManuSync: これは、「ロジスティックス分枝」についてのものです。

[4] 上記のようなソフトウエアが実際に必要かどうかは、生産システムの複雑さの度合い、また、販売品目数の多寡によると思います。

[5] 「ロジスティックス分枝」の中核は、「DBR: Drum-Buffer-Rope」という考え方に準拠しています(ザ・ゴールの中の、ボーイスカウトの行進を比喩として説明された概念)。この考え方を、実際に導入するには、通常、まず、マニュアルでやって見ることをお勧めします。すなわち、コンピュータ・ソリューションを使わないでやってみる、ということです。この編の議論については、MSIのホームページの「TOCの概要」、その中の、「TOC資料」、その中の、「No.001手動によるDBRインプリメンテーションとソフトウエアによるDBRインプリメンテーションの良い点、悪い点」 をご覧ください。

[6] 結論的には、もう少し、TOCについての知識を深められ、それからどうするかを意思決定なさるのがよいと思います。

なお、「クリティカルチェーン」については、JMAMから出ている、稲垣氏の「「クリティカルチェーン」をお読みになるとよいと思います。

以上、いささかでも、お役に立てば幸いです。また、的外れでしたらお許し下さい。

小林 英三

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