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[整理No.010] 投稿 小林英三
業績評価尺度について

YY社XX工場ZZ様

過日、お目に掛かったときにお約束したものをお送りいたします。いささかでも、ご参考、お役に立てれば幸甚です。
小林 英三

TOC/DBRのインプリメンテーションとは?

一言でいえば、TOC/DBRのインプリメンテーションとは、TOC/DBRの考え方に基づき、生産を含む、業務フローを革新し、顧客へのサービス・レベルで競争相手を圧倒的に凌駕し、顧客の信頼感を得て自社の製品への需要を大きくして、会社のスループット増大に貢献することです。ここで、会社の立場から考えれば、対象とする業務フローは、基本的には、顧客から見積依頼を受けたときから、代金回収までのフローです。

「TOC/DBRのインプリメンテーションを行う」という意思決定の大前提

「TOC/DBRのインプリメンテーションを行う」という意思決定を為した場合、影響力のある関係者は、「TOC/DBRは、JITとかMRP IIなどの、他の生産管理システムよりも、会社に、より多くのスループットをもたらす、という意味で、優れていると確信している」との大前提がある、と思います。つまり、トップマネジメントを含む、何人かの人が、crazy about TOCの状態になっていないといけない、ということです。言うまでもありませんが、この点が「曖昧」だと、インプリメンテーションは成功しません。

TOC/DBRのインプリメンテーションの目標

TOC/DBRのインプリメンテーションの目標は、本質的に、業務プロセスの有効性を漸進的ではなく、革新的(revolutionary)に高め、それにより、生産性を向上させ、「スループット」を大きくすることです。したがって、設定する目標は、(漸進的な改善ではなく)、何かを100%以上も改善するとか、1/3にするとか、「大きな飛躍」を急速に、適切なマイルストーンを設定して、スピード感をもって実現することです。それには、既存業務プロセスの部分的な手直しではなく、目標の実現に向け、どうすべきかを、「Start over from scratch(はじめから作り直す)」で決める必要があります。

「神聖な牛」と「抵抗」

上で見たように、TOC/DBRのインプリメンテーションには、通常、大きな変革が必要です。ということは、これまでの業務の行ない方を、根本的に変える必要のあることを意味します。そして、人々は、変化を好まず、抵抗します。当然ながら、TOC/DBRのインプリメンテーションの実行責任者(例えば、ZZさん)は、「(TOC/DBRは、JITとかMRP IIなどの)他の生産管理システムよりも、会社に、より多くのスループットをもたらす」という意味で、優れている」ことを理解し、かつ、確信している必要があります。なぜならば、これらの変化への抵抗を排除するという、極めて重要な役割を担っているからです。アメリカの、経験深いTOCコンサルタントであるマーク・ウオッペルは、「変化への抵抗を排除する行為」を、「誰かさんの神聖な牛を、それも、何頭も殺す行為」と言っていますが、これは、とてもむずかしいことで、極めて、注意深く、かつ、上手に行うことが必要でしょう。でも、このプロセスなしに、TOC/DBRのインプリメンテーションは成功しません。

このような抵抗には、下記の9つのレベルがあると言われています。
変化(5段階継続的改善プロセス)への抵抗の9つのレベル
  • 第1レベル 問題なんかないよ
  • 第2レベル 問題が違うんじゃない
  • 第3レベル 俺の問題じゃないよ
  • 第4レベル 他の方法の方がいいよ
  • 第5レベル そんな改善策じゃ、問題全体に対応してないよ
  • 第6レベル そうだけど、悪影響もでるよ
  • 第7レベル そうだけど、そんなことできないよ
  • 第8レベル どうやったらよいか、はっきりわからないよ
  • 第9レベル 恐れやよくわからないための抵抗

TOCの三つの基本的な業績測定尺度

ご承知の通り、TOCの三つの基本的な業績測定尺度は、スループット(T)、在庫(I)、業務費用(OE)の三つです。制約理論では、理屈から考え、業績を改善するには下の三つの方法があります。
  • Tを増大させる
  • Iを減少させる
  • OEを減少させる

ここで、TOCでは、「Tを増大させる」を最重要視し、次いで、「Iを減少させる」、そして、OEは、「減らすのではなく、増えないよう」に管理します。

制約理論では、T、I、OEの動きを管理するのに加え、T/IとT/OEという比率も業績尺度として活用します。比率T/Iは、その企業が在庫投資をどれくらい有効に活用したかを示し、また、比率T/OEは、その企業や工場の全体的な生産性を示す業績尺度と考えられます。つまり、支出した1円の業務費用でどれくらいスループットを稼いだかがわかります。もし、T/IとT/OEの両方が同時に大きくなっていると、その企業の業績は改善しているといえます。この二つの比率を使うと、経営者は、T、I、OEのすべてを同時に考えなければならなくなります。

TOCで使われる業績尺度には、網羅的ではないでしょうが、下記のような尺度があります。個々の尺度の意味は自明ですが、いずれも、スループットを最大にするという企業目標と整合するものだと思います。
  • スループット=売上-原材料費(大きくする)
  • 在庫(小さくする)
  • 業務費用(小さくする)
  • 税前利益=スループット-業務費用(大きくする)
  • ROI=税前利益/在庫(高くする)
  • 在庫回転率=スループット/在庫(高くする)
  • 生産性=スループット/業務費用(高くする)
  • 一人あたりスループット=スループット/従業員数(大きくする)
  • 制約資源での時間あたりのスループット(大きくする)
  • 制約資源での予定作業時間比の有効実作業時間(100%に近づける)
  • 業務費用回収率=(月間業務費用-当日までの累計スループット)/月間業務費用(出来るだけ早く回収する)
  • 戦略的なバッファ在庫への指定時点での到着(上流工程からコントロール・ポイント[ドラム、組立区域、出荷場所]への到着を計画通りに行えた割合を高くする)

何故、新しい、TOCの考え方に沿った業績測定尺度が必要か?

人々は、通常、企業に所属する一員として、企業の目標実現に貢献し、それによって昇進したり、ボーナスを余分に貰おうと考えているでしょう。それでは、彼らの「貢献」はどのように計測するのでしょうか。TOCを導入しようとするとき、会社としての目標は、"To make money now and in the future"ですが、Woeppelは、人々を、上位にある「会社としての目標」に沿った方式で行動させるような業績測定尺度が必要だと言っています。それには、「下記の三つの特定された成果をもたらす評価システムの作成」が必要だといっています。

  1. 人びとが、顧客の求めるものに関心を持ち、それを顧客に提供しようとする。
  2. 人びとが、顧客が評価する成果を提供できるビジネス・プロセスを、継続的に、一層、改善することに惜しみない努力を払おうとする。
  3. 部門の垣根を越えて柔軟性を発揮し、顧客に素早く対応する行動が奨励される組織を開発する。

そうして、Woeppelは、下図のような部門別の業績測定尺度を提案しています。そして、必要に応じ、測定尺度を選択して、実行するように勧めています。なお、Woeppelの視点は、従来のオーダーの実行プロセスを、まず、TOCの考え方に沿ったもので置き換え、その新しいオーダーの実行プロセスを行うという観点からのものです。換言すると、TOC/DBRの実行には、「新しいオーダーの実行プロセス」への置換が大前提である、という立場です(詳しくは、「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」を読んで下さい)。
「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」よりの引用

図8.4の業績測定尺度は網羅的なものであることを意図したものではなく、このようなものが必要であると考えられる尺度の例であると考えて下さい。著者は、「オーダーの実行プロセス」の要素の中で、問題となりそうなことを正確に診断できるようにする目的で、各要素の測定尺度を考えて見ました。必要に応じ、測定尺度を選択し、実行して下さい。たくさんの尺度を同時に行おうとすると、効果的に吸収し、対応できる以上の情報が集まってしまい、上手く使えません。

図8.4 月次業績測定尺度
レポート名 説明 形態 作成者 掲示場所
販売部門
使命:より収益性の高い販売を実現する
スループット金額 当月のスループット金額 棒グラフ(金額) 経営企画部長 販売部門
販売の有効性 当月のスループット金額を制約資源稼働時間で除したもの 棒グラフ(比率) 経営企画部長 販売部門
販売生産性 当月のスループット金額を販売業務費用で除したもの 棒グラフ(比率) 経営企画部長 販売部門
販売金額 オーダー金額合計 棒グラフ(金額) 経営企画部長 販売部門
販売見積金額 見積したオーダー金額合計 棒グラフ(金額) 販売マネジャー 販売部門
見積スループット金額 見積オーダーのスループット金額合計 棒グラフ(金額) 販売マネジャー 販売部門
成約/見積比率 成約オーダー数を見積オーダー数で除したもの 棒グラフ(比率) 販売マネジャー 販売部門
ペンディング見積金額 見積後、交渉進行中の見積オーダーの金額 棒グラフ(金額)    
計画作成、スケジュール作成担当部門
使命:オーダーを納期通りに出荷する
納期遵守比率(金額比率) 納期、または、納期前に出荷されたオーダーの金額合計を、当月出荷したオーダーの金額合計で除したもの 棒グラフ(比率) 資材マネジャー 資材部門
製造部門
販売部門
納期遵守比率(オーダー数比率) 納期、または、納期前に出荷されたオーダー数の合計を、当月出荷した全オーダー数で除したもの 棒グラフ(比率) 資材マネジャー 資材部門
製造部門
販売部門
サービス・レベル(交換部品) 交換部品オーダーで、24時間以内に出荷されたオーダー・ライン品目を、当月出荷した全交換部品オーダーのオーダー・ライン品目数で除したもの 棒グラフ(比率) 資材マネジャー  
製造部門
使命:より少ない資源で、より多くの製品を生産する
出荷オーダー金額 当月の出荷オーダー金額 棒グラフ(金額) 経営企画部長 製造部門
スループット金額 出荷金額より真の変動費を控除したもの 棒グラフ(金額) 経営企画部長 製造部門
顧客リードタイム オーダー受理からオーダー出荷までの日数 棒グラフ 工場長 製造部門
制約資源の利用率 制約資源の実稼動時間を利用可能時間で除したもの 棒グラフ 経営企画部長 製造部門
制約資源での手直し時間 手直しに使ってしまった時間数 棒グラフ 製造マネジャー 製造部門
制約資源の生産性 有効に使用した制約資源の時間を、制約資源の延べ稼動時間で除したもの 棒グラフ(比率) 製造マネジャー 製造部門
制約資源のスケジュール達成率 実部品処理時間を予定部品処理時間で除したもの 棒グラフ(比率) 製造マネジャー 製造部門
工場の生産性 出荷オーダーのスループットを生産業務費用で除したもの 棒グラフ(比率) 経営企画部長  
生産の有効性 出荷オーダーのスループットを使用制約資源時間で除したもの 棒グラフ(比率) 製造マネジャー  
スクラップ金額 スクラップ金額 棒グラフ(金額) 製造マネジャー  
手直し時間 手直し時間の合計 棒グラフ 製造マネジャー  
生産リードタイム スループット金額を月末仕掛品在庫金額で除したもの 棒グラフ(日数) 製造マネジャー  
在庫管理担当部門
使命:部品在庫投資を最小化する
在庫金額 原材料、仕掛品、最終製品別の在庫金額 棒グラフ(金額) 資材マネジャー  
在庫回転率-原材料 当月消費の原材料在庫金額を、手持ち原材料在庫金額で除し、12倍したもの 棒グラフ(比率) 資材マネジャー  
在庫回転率-最終製品 当月出荷の最終製品在庫金額を、手持ち最終製品在庫金額で除し、12倍したもの 棒グラフ(比率) 資材マネジャー  
原材料比率 原材料金額を出荷金額で除したもの 棒グラフ(比率) 資材マネジャー  
会社全体の業績測定尺度
バックログ金額 オープン・オーダーの合計金額で、未出荷部分 棒グラフ(金額)    
販売利益率 純利益を販売金額で除したもの 棒グラフ(比率)    
純資産利益率 純利益を純資産で除したもの 棒グラフ(比率)    
TOCを導入のサクセス・ストーリーに一般的に共通して見られる効果

TOCを導入したケースのサクセス・ストーリーに一般的に共通して見られる効果は、
  • スループット(売上-原材料費等の真の変動費)の増加
  • 在庫減
  • リードタイムの短縮
  • 納期遵守度の向上
  • 督促の減少
  • 品質向上/仕損じ減
  • サイクルタイムの短縮
  • 原材料の購入から現金になって企業に戻ってくるサイクルの短縮による資金回転率の向上
  • 顧客からの信頼向上、顧客への納入ロットサイズが小さくなることによる顧客の在庫の減少

などのようで、これらを通じ、競争力の強化、そして、その結果としてのボトムラインの改善が実現でき、そして、導入を開始後、多くの場合、90日から120日で、効果が現れてくると言われています。

ZZさんのお立場から考えて、設定を考慮すべきと考える業績測定尺度

ZZさんのお立場を考えて、上記のWoeppelの図から、業績測定尺度の候補となりうるものを選択すると下記のようなものになると思います(定義は上図を参照)。
  • 納期遵守比率(金額比率)
  • 納期遵守比率(オーダー数比率)
  • 出荷オーダー金額
  • スループット金額
  • 顧客リードタイム
  • 制約資源の利用率
  • 制約資源での手直し時間
  • 制約資源の生産性
  • 制約資源のスケジュール達成率
  • 工場の生産性
  • 生産の有効性
  • スクラップ金額
  • 手直し時間
  • 生産リードタイム
  • 在庫金額
  • 在庫回転率-原材料
  • 在庫回転率-最終製品
  • 原材料比率

測定が必須の業績測定尺度

Woeppelが、「たくさんの尺度を同時に行おうとすると、効果的に吸収し、対応できる以上の情報が集まってしまい、上手く使えません。」といっているように、上記のすべての業績測定尺度を、最初から、行おうとすることは、現実的ではありません。そこで、上記の「TOCを導入したケースのサクセス・ストーリーに一般的に共通して見られる効果」を念頭に、あえて、小生が、「必須」と考えられる少数のものに絞ってみると、下記のような項目になりました。これを、初期段階の、「継続的に測定すべき業績測定尺度」とされては如何でしょうか。そして、先にすすむにつれ、必要に応じ、項目を追加されていかれては如何でしょうか。

  • 仕掛品(出荷量との相対的な比率で小さいほうがよい)
  • 生産リードタイム(短いほうがよい)
  • 納期遵守度(高いほうがよい)
  • バッファの「穴」の管理と督促回数

新しい業績測定尺度は、TOC/DBRのインプリメンテーションの開始の前に、事前にプロジェクト・オーナーと合意し、古い業績測定尺度と置換しておくことが必要

新しい業績測定尺度は、TOC/DBRのインプリメンテーションの開始の前に、事前にプロジェクト・オーナーと合意し、古い業績測定尺度と置換し、関係者に徹底しておくことが必要です。理由は下記の二つです。

  1. 人々の行動を、新しい業績測定尺度に沿ったものにする。
  2. TOC/DBRのインプリメンテーションの成果を追跡する。

sプロジェクトの目標、マイルストーンの設定などについてのプロジェクト・オーナーとの合意

業績測定尺度について、プロジェクト・オーナーと合意ができたら、それらの尺度の値を、いつまでに、いくつにするか、に関しても、TOC/DBRの進捗を測定するためのマイルストーンとして設定し、文書にてプロジェクト・オーナーと合意しておく必要があります。この合意は、ZZさんとプロジェクト・オーナーとの間の「契約」です。

この点に関して、Woeppelは、プロジェクトの目標の設定、マネジメントへの報告のメカニズムの確立、プロジェクトの目標達成の合否の判定なども含め、下記のように述べ、また、「契約」の雛形も示していますので、参考にし、同様のものを「文書」にされ、結果を追跡なさるようにお勧めいたします。
「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」よりの引用

プロジェクトのゴールと目標
最初のステップは、プロジェクトのゴールと目標を確立することです。図4.1は、プロジェクトのパラメータを説明する文書の一例です。この文書は、プロジェクトのスポンサーとプロジェクト・リーダーの間の「契約」そのものです。この文書により、インプリメンテーション計画の課題のいくつかが達成されます。

  • プロジェクト・チームの目標を設定する
  • 目標の達成度合いを測定する尺度を決定する
  • マネジメントへの報告のメカニズムを確立する
  • 概略のインプリメンテーションのスケジュールを合意する

図4.1
1999年3月13日
ジョー・メリット社長 殿
プロジェクト・マネジャー
マーク・ウオッペル

CMインプリメンテーション・プロジェクトのゴールと目標

プロジェクトの使命

製品品質を維持しつつ、顧客納期遵守度を改善し、かつ、顧客への納入リードタイムを短縮し、これら二点につき、競合他社を凌駕する。

副次的目標

  • 極めて高い信頼性と短い納入リードタイムにより、一貫して、顧客へ製品を納入できる、信頼性の高い、頑健な生産業務の計画、および、遂行システムを確立すること。
  • 関係社員のスキル基盤を拡大し、能力開発を行うこと。
  • ROIを改善すること。

プロジェクトの業績評価尺度

インプリメンテーションの有効性は、下記の基準により、評価する。
工場の生産性:
業務費用でスループット金額を除したもの。ここで、15%の改善達成を合格とする。
納期遵守業績:
約束納期日、または、それ以前に出荷されたオーダー数を、総出荷オーダー数で除したもの。ここで、この数値が95%になることを合格とする。
ROI:
スループット総額(T)を在庫(I)で除したもの。ここで、50%の維持を目標とする。
納入リードタイム:
オーダー受理日から出荷日までの日数。ここで、オーダーサイズが$10,000
以下のオーダーを対象に、
  • 標準品については3日を合格とする。
  • その他製品については10日を合格とする。
品質:
不良品なしで出荷できたオーダーの割合。出荷オーダー総数から、品質事由で返品されてきたオーダー数を差し引き、その数値を出荷オーダー総数で除したもの。ここで、98%を合格とする。
工場所属人員の新システム講習受講割合:
講習受講者を講習対象者数で除したもの。
  • 基礎コース:一般社員の95%、4時間の基本概念コース
  • 基本コース:係長以上の全員、2日間の基礎概念、ワークショップ・コース
  • 熟練者教育コース:インプリメンテーション・チーム、基本コース+数ヶ月の訓練
プロジェクトの成功の合否判定基準

  • システムの機能性
  • 教育実績
  • システムの文書化
  • プロジェクトの業績測定尺度による測定

プロジェクト課題達成の合否判定者はメリット社長。プロジェクト・マネジャーは、メリット社長に、判定に必要な証拠書類を提出する。

マイルストーンの予定完了日
マイルストーン 完了時期
プロジェクトの業績測定尺度の準備完了 1/23
現状評価完了 1/30
最初の研修 2/17
トップマネジメントへのプレゼンテーション 2/24(半日)
新しい手順とプロセスの定義完了 3/15
手順の実行 4/1
現場でスケジュールの実行 4/2
バッファ管理のインプリメンテーション開始 6/1


プロジェクトの進捗報告

チームよりプロジェクトの進捗状況を、メリット社長、および、役員会に、必要に応じて口頭で、また、文書により月1回報告する。
部門別の重要業績測定尺度を掲示する

Woeppelは、重要業績測定尺度の動きを人々に知らしめることの重要性を強調し、次のように述べています。ZZさんも、工場内の目立つところに、掲示されては如何でしょうか。
「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」よりの引用

人々の行動は、業績測定尺度から生まれるので、重要な業績測定尺度はなんであるかを人々に明示する必要があります。もちろん、プロジェクトを評価するための業績測定尺度もその中に入りますが、他にもあります。このステップは、業績測定尺度が定義され、それらの尺度の数値の測定を実際に行い、報告する責任をはっきり決めるまで、終わったとはいえません。業績測定尺度を職場に掲示しなさい。必ずしも、すべての人が、これらの尺度がなにを意味するか、また、何故、掲示されたかを理解しないでしょう。しかし、掲示することにより、マネジャーや管理の立場にある人たちに、自分たちの責任を認識させることになるでしょう。これらの業績測定尺度は、仕事の業績を評価するのに使われるようになります。インプリメンテーションとの関連で言えば、これらの業績測定尺度は、プロジェクトの進捗を示し、また、インプリメンテーションの問題点を診断するのに使われます。
XX工場でのTOC/DBRのインプリメンテーション

恐らく、XX工場でのTOC/DBRのインプリメンテーションは、下記のようなステップを踏んで行われるだろうと思います。

制約(ドラム)/コントロール・ポイントを決定し、ドラム/コントロール・ポイントの目標キャパシティを決める

  • バッファ方針、バッファサイズを決定する
  • スケジューリング方針を作成する
  • スケジュール作成プロセスを決める
  • 原材料投入方針、オーダー投入方針を作成する
  • 同期製造方針(Synchronous Manufacturing Policies)を作成する
  • 同期製造プロセスを定義する
  • タイムバッファを置く位置と、仕掛品を置く物理的な区画を決定する
  • キースタッフ、スケジュール作成者、監督者を包括的に教育する
  • 現場の作業員を訓練する
  • 監督者に、新しい生産方針とプロセスを理解させる
  • 部門単位での質疑応答セッションを開催する
  • スケジュール作成担当者に、新しいスケジュール作成法とプロセスを訓練する
  • 特急納品システムを設計する
  • 現場で、ジョブの「先入先出」を実行する
  • 新しい方法によるスケジュールを、現場で開始する
  • 「オーダーを受ける前」に行うチェックリストを作成し、実行する
  • 標準品に対する在庫方針を見直し、(必要なら)適切な変更を行う
  • 「進行中のオーダー」の変更プロセスを作成する
  • 標準リードタイム方針を作成し、実行する
  • 人的資源方針を作成する
  • 人的資源計画作成プロセスを作る
  • 日次、週次キャパシティ・レビューのプロセスを作成する
  • バッファ管理を実行する
  • (必要なら)スケジューラー対象に、徹底的なTOC 実務家訓練を実施する

各ポイントについては、Woeppelの「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」を精読なさって下さい。

最後になりますが、かって、高名な日本の物理学者が、知識には2種類ある、その一は、「本を読めば身につく知識」、その二は、「経験しないとわからない知識」である、と言ったこと、そして、小生も「成る程」と思ったことをお伝えしたいと思います。そして、今のZZさんのお立場で、是非、精読、熟読することをお勧めしたい本は、他のTOCの本もさることながら、Woeppelの「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」です。この本について、amazon.co.jpに投稿された、ある読者のブックレビューを、手前味噌ながら、記載しておきます。
7人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
待望のTOC導入実践書,2001/12/26
投稿者K.T神戸市東灘区

「ザ・ゴ-ル」日本語版の発刊後、海外文献の翻訳書を含め日本においてもTOCについての概要や理論、成功事例等についての書籍が数冊出版されました。しかし、これらの本を読んでTOCの有用性については評価したものの、これから自社にTOCの導入を検討するにあたり実践的な書籍がこれまで見受けられませんでした。しかし、この「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」は、例えば各インプリメンテーションプロセスにおける使用資料や評価尺度等、実際にTOCをインプリメンテーションする際の手順や留意点が具体的かつ明解に説明されており、TOC導入を検討する企業や担当者にとって、これまでにない有効なガイドブックであると感じました。私自身も現在自社との環境と照らし合わせてTOCをどのように導入するのかを検討する材料として有効活用しています。
終わりに、XX工場での、TOC/DBRの展開が成功するように、心からお祈りいたします。

小林英三

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