LPMの紹介

  • 書名: リーンプロジェクトマネジメント<LPM>
  • 副題: リーン、クリティカルチェーン、PMBOK GuideTMを統合した、プロジェクトマネジメントのバイブル 
  • 著者: ラリー・リーチ
  • 監訳者:小林 英三

生産現場に限らず、産業界のあらゆる場所で、競争優位確保のため、「合理化」「最適化」が進められ、プロジェクトの進捗管理が「最後の聖域」になった感があります。いま、プロジェクト管理に、産業界の耳目が集まっています。
本書の著者であるラリー・リーチは、売れっ子の「プロジェクトマネジメント」のコンサルタントで、多くのコンサルティング実績で知られておりますが、これまでの長い経験に基づき、「リーンの概念」、「TOCのクリティカルチェーン」、そして、「Project Management Body of Knowledge (PMBOK GuideTM)」を統合した「リーンプロジェクトマネジメント」を提唱しています。ちなみに、プロジェクトマネジメント領域で普通名詞になっているCCPM(Critical Chain Project Management)は、著者ラリー・リーチが創り出した言葉です。

本書は、これらを、初めて本の形にしたもので、そのノウハウを、全8章にまとめています。これにより、「プロジェクト納期は半分になる」とラリー・リーチは主張しています。
本書のサブタイトルにある「バイブル」は、本書(訳書)の草稿を輪読したあるプロジェクトマネジメントの専門家が、「これは、プロジェクトマネジメントのバイブルだ!」と叫んだところからきています。また、プロジェクトマネジメントの「新しい業界標準」の最右翼候補という専門家もいます。

本書は、プロジェクトマネジメントを8つのフェーズに分け、そのそれぞれについて、深い洞察と豊富な経験から、教訓を引き出しています。教訓と言っても、そのままノウハウとして、テンプレートのように実行可能なところが、バイブルたるゆえんです。

また、著者ラリー・リーチは、マイクロソフト社の支援を得て日本語版が発売されている「クリティカルチェーン対応のソフトウエア製品」である「CCPM+」の開発者でもあります。

「リーンプロジェクトマネジメント」の概要

第一章
原理1:プロジェクトシステム

 プロジェクトを成功させて完了するためには、人々、プロセス、および、成果物を要素として構成されているシステムをガイドしなければなりません。そのためには、まず、自分の環境、および、プロジェクトを対象とする有効なシステムを定義しなければなりません。ムダを含まない、スリムな「リーン思考(lean thinking)」により、プロジェクト・ポートフォリオ、および、個々のプロジェクトの計画の作成、実行、コントロールの分野で、これまでのプロジェクトの行い方を改善し、ムダを排除すれば、「常時、これまでの時間の半分」で、プロジェクトを引き渡せるようになります。

第二章
原理2:人々を統率する

 2番目の原理は、プロジェクトへの関心を持たせ、人々、すなわち、ステークホールダーをリードし、プロジェクトの成功に喜んで協力するようにしむけることです。プロジェクトを行っている期間を通して、プロジェクトの成功に向けて、ステークホールダーからの積極的なサポートを受け続けることのできるプロジェクトリーダーは、どのような嵐も乗り越えられます。ステークホールダーに、個々の人が行うタスクやチームで行う仕事の状態を、先が見通せるかたちで説明し、避けられない問題や衝突を上手に解決し、すべての人にとりwin-winのソリューションを導き出すことができてこそ、有能なプロジェクトリーダーです。

第三章
原理3:プロジェクト憲章

 プロジェクトチームの成功には、プロジェクトビジョンをしっかりと定義し、それをプロジェクト憲章として表現し、それに基づいてチームを連携させることが不可欠です。プロジェクト憲章は、投資対効果検討書のように、そのプロジェクトが、財務的に、顧客との関係で、業務処理的に、また、従業員との関連で、どのような結果をもたらし、したがって、会社としての目標の達成にいかに貢献するかを示すものでなければなりません。プロジェクト憲章を作成するフェーズでは、プロジェクトの実行中に必要となるアクションや起りえる問題をあらかじめ識別し、それらに上手に対応したり、解決したりするにはどのようなプロセスが有効かを定めます。

第四章
原理4: 適切なソリューションの選択

 プロジェクトを成功させるには、プロジェクトにより実現しようとしている事業機会を現実のものとし、そこから利益をあげられるようにしたり、対象とする問題の解決を具体的に行ったりできる適切なソリューションを導入、展開しなくてはなりません。適切なソリューションの導入、展開には、まず、「プロジェクトが成功である」と利害関係者が認定するための要件を理解し、これらの要件を、プロジェクトのスコープに、理解できる言葉で翻訳し、責任を割り振ることが必要です。適切なソリューションは、「8つのタイプのムダ」を少なくするために不可欠です。これにより、顧客の要件を満たさない成果物が回避できます。

第五章
原理5: 変動性を管理する

 この世界は、変動性と不確実性に満ちています。成功するには、フローを管理しなければなりません。変動性を管理するには、変動性とは何かを理解し、そして、2つのタイプの変動性を対象に、それらを適切にコントロールするすべをモデル化しなければなりません。2つのタイプの変動性とは、日常的に発生する通常の統計的変動(Common Cause Variation)と特別な原因による変動(Special Cause Variation)で、前者にはバッファにより、後者にはリスク管理により、対応します。一般的に使用されるバッファには、プロジェクトバッファ、合流バッファ、キャパシティ制約バッファ、および、コストバッファの4つの種類があります。通常、簡単な方法でバッファサイズを決めてやるとうまく機能します。

第六章
原理6:プロジェクトのリスクの管理

 プロジェクトのリスク管理とは、あらかじめ、プロジェクトで発生する可能性のある「特別な原因による変動」の発生の確率を減少させ、放置したら生まれてしまう望ましくない結果の発生を、減少させるアクションを作成することです。積極的なリスク管理は、プロジェクトが存続する限り行い、その内容は、リスクの識別、分析、および、影響の軽減です。

第七章
原理7:プロジェクト計画

 プロジェクト計画は、すべてのプロジェクト利害関係者に、プロジェクトの成功に向けたロードマップを提示するものです。プロジェクト計画では、プロジェクトを記述し、プロジェクトの目的を実現するプロセスが書かれています。プロジェクトのスケジュール、および、スケジュールのコントロールは、プロジェクト計画の主要な要素で、その成否は、資源へのプロジェクトタスクの負荷が平準化されているかどうか、また、クリティカルチェーン計画に沿ったものであるかどうかにかかっています。プロジェクトを、ボトルネックドラム資源を考慮してパイプライニングし、個々のプロジェクトの開始日付と完了日付を決定します。すべてのプロジェクトで、少なくともプロジェクトの状況を関係者に伝達する方法と、変更管理のプロセスを含む必要十分なプロジェクトの実行手順が必要です。

第八章
原理8:実行

 「リレー走者のように、自分の役割を懸命にやり遂げようとする姿勢から生まれるパフォーマンス」が、本書のテーマである「リーンプロジェクトマネジメント」の根底をなすものです。プロジェクトリーダーは、タスクマネジャーが次に行うタスクを適切に決めることを助け、これにより、プロジェクトの中で、「リレー走者が生み出すパフォーマンス」を実現します。プロジェクトの進行中に、プロジェクトチームは、タスク情報を見て、失われたバッファを回復するためには、プロジェクトの中で、いつ、どこでアクションをとるべきかを知ることができます。有能なプロジェクトリーダーは、常に、適切に成し遂げられたことを識別し、それに報い、そうすることで、成功に向けプロジェクトに勢いをつけます。計画したことを、すべて実現して、ステークホールダー全員で心からお祝いできるように、プロジェクトを完成してください。

「リーンプロジェクトマネジメント」で得られる利点

ラリー・リーチは、「リーンプロジェクトマネジメント」で得られる利点として下記を挙げています。

  • プロジェクトが成功する
  • プロジェクトが、常に、スケジュール内に完成する
  • プロジェクトで実現しようとしたことが、すべて、実現できる
  • プロジェクトの費用が、予算内に納まる
  • 市場での優位性が得られ、事業が成長できる
  • プロジェクト期間が短縮する
  • 前に行った類似プロジェクトに較べ、プロジェクト期間が、すくなくとも半減する
  • 個々のプロジェクト計画は、少なくとも、25%は短縮する
  • 並行的に行われる複数プロジェクトのプロジェクト期間が、大幅に、短縮する
  • プロジェクトでの変更が少なくなる
  • 業務改善プロジェクトで実現しようとする改善の時期が早まる
  • 投資のペイバック期間が短縮する
  • プロジェクトチームのストレスが減り、満足感が高まる
  • マルチタスキングから生まれる混乱が少なくなる
  • インプリメンテーション時点で、一つのタスクに集中できるようになる
  • 変更が少なくなる
  • やり直しが少なくなる
  • 複数のプロジェクトを担当するマネジャーのストレスが小さくなる
  • 「期日遵守」を前提としたタスク管理によるプレッシャーが除去される
  • タスクを実際に行う人たちは、バッファ・レポートを参照することで、自分の担当のタスクの優先順位を決められる
  • 高い優先順位を持つタスクが、突然、飛び込んでくることが少なくなる
  • プロジェクトの現状把握の単純化
  • ステータスが、素早く、容易に判る
  • リアルタイムでプロジェクト・ステータスが判るので、レポートを待つ必要がない
  • ステータスがリアルタイムで判るので、バッファ、チェーン、タスク別に、どこに注意を向けるべきかが即座に判る
  • バッファ・レポートにより、適切な意思決定が行える
  • プロジェクト開始のパイプライニングについての意思決定が行える
  • プロジェクト管理が単純化され、容易になる
  • プロジェクト・マネジャーは、何処に注意を向けたらよいかが容易に行える(早すぎるタスク着手が減る)
  • プロジェクト計画作成が単純化されるので、ペーパーワークが少なくなる
  • プロジェクト・ステータスの報告が単純化する
  • ステータスの把握により、その時点で、計画を作成すればよいのか、それとも、アクションを起こさなければならないのかが意思決定できる
  • ステータスの把握により、どのタスクに、優先的に資源を割り当てたらよいのかが判る
  • 同一の資源量で、プロジェクトのスループットを増大できる
  • 資源についての争いが減る
  • 同一の資源量で、より多くのプロジェクトが、より早く完了する
  • 足りなくなってしまった資源の追加が減る
  • 資源に起因する遅延が減少する
  • プロジェクトのキャッシュフローが改善する
  • プロジェクトのROIが改善する

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